よろずを継ぐもの

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パンジー・ビオラ

花鳥風月
第5話
2024.3.3
太陽の力が一番弱まるという冬至を境に、日増しにと日が長くなっていきます。冬の間どこかふさぎこんだ気持ちになりがちでしたが、近頃では日の出もだいぶ早くなり、今頃を境に再び力が甦り「陽」に変わる、運気が上がると昔からそう信じられていました。早春の雨が降り、春一番の便りがあちこちから聞こえてくる今日この頃。通勤途中の民家や公園の花壇にも花々が咲き始め、ささやかな日々の移ろいに心がわくわくする季節になりました。
―たのしみは 朝おきいでて 昨日まで 無りし花の 咲ける見る時
                         橘曙覧「独楽吟」よりー

春の幸、春の鳥、春の花、春の香り‥そんな春の兆しに気が付くとふと心がわくわくします。家の近所に住むおじいちゃんがいつも玄関先のお花の手入れを始めるのも今頃。ふと気が付くとつい数日まで空だったプランターには可愛らしい花々が咲きほこっているではないですか。そんな風にこの時期あちらこちらで見かけるパンジーやビオラに気が付くとなんだか急に春へと心のスイッチが入るのです。

パンジー・ビオラ
優しそうなおじいちゃんに見守られている気分

公園で見かけるパンジーも、近所で見かけるビオラたちも、サイズや色も様々で、調べてみるとパンジー・ビオラの境のようなものは今やはっきりしないんだそう。
スミレ科スミレ属のパンジーとビオラは、写真で見るとそっくりなものも多いのですが、5~10㎝くらいの大きな花をパンジー、2~4㎝くらいの小さな花を一株にたくさん咲かせるのがビオラと呼ぶことが多いようです。そしてパンジーとビオラの原種ともいえる野草がスミレで日本では野山や草原、道端などに50種類以上の野生種が自生している生命力の強い花です。 いつもこの時期になると近所の民家のプランターにビオラが植えられます。毎年思うのですが、立派な眉毛とひげを蓄えたおじいちゃんたちが道を行きかう私たちを見守ってくれているかのような気がしてならないのです。
「お兄さん、行ってらっしゃい!」「車に気を付けるんだよ」「違う違う!今日は燃えるゴミの日だよ。」なんてまるで知り合いかのように気さくに話しかけてきそうです。
パンジー・ビオラ
名前の起源は「思想」を意味する仏単語パンセ(pensée)

今回はパンジーやビオラのお花がおじいちゃんの顔に見えるかも⁉なんていうただの心の中のつぶやきを分かち合いたかったのですが、調べていくとパンジーの花が人間の顔に似ていて、うつむいて物思いにふけっているように見えることからその名がついたと紹介されているではないですか⁉さらに日本には、江戸時代にオランダ経由で入ってきたといいますが、花の中央部分が人の顔のように見えることから「人面草」と呼ばれたりしていたそうです。
なんだ!むかしの人もみんなそう思っていたんだね⁉と少し安心しました。
この花の中心に人の顔のように見える柄は「ブロッチ」という模様なんだそう。細い線だけのものや、柄の無い単色のお花も多いので、この「ブロッチ」模様のお花を見つけるとつい、「おじいちゃん、こんにちは」と心の中でつぶやいてしまいます。
ちなみにパンジーの花言葉は、名前の由来と同じ意味を持つ「物思い」「思慮深さ」が有名です。 「私のことを思って下さい」「陽気さ」「思い出」などの花言葉もあります。ビオラの花言葉には、「誠実」「信頼」「純愛」などの言葉が並びますがパンジーと共通の「物思い」「私のことを思って下さい」という花言葉もあります。

パンジー・ビオラ
どこかで見たことがある気がするおじいちゃん

「ブロッチ」模様のはいったパンジーやビオラを見るたびに、どこかで見たことがあるような…既視感をずっと覚えていました。
ふとある画像が目に留まり、これだ!激似のおじいちゃんは!と自分なりにしっくり来たのが犬のシュナウザーです。シュナウザーといえば、おじいちゃんのような口ひげや垂れ耳を持ち、可愛らしいビジュアルと賢い性格で大人気ですね。ドイツ生まれのシュナウザーの名前の由来はその名もドイツ語で「ひげ」。パンジーやビオラ同様、その見た目からおじいちゃんっぽさがきっかけとなっているようです。
そしてそして、私はむかしからシュナウザーを見るたびに立派な眉毛で有名な第81代内閣総理大臣 村山 富市氏を思い出します。
そんなこんなで本日3月3日は村山 富市氏の100歳のお誕生日とのこと。
お誕生日おめでとうございます!

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