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島の幸々

つたや總本家「カスドース」

平戸島/つたや總本家
2024.3.18
日本最古の国際貿易港ともいわれている長崎平戸は海外交通の要所として、かつては国際貿易港として栄えました。古くは、真言宗の開祖・空海がこの地より唐へと渡り、宋から帰国した臨済宗の開祖・栄西は、初めて禅宗を伝え、中国より持ち帰った茶の実を使い日本初の茶畑を作ったと言われています。1543年(天文12年)の鉄砲伝来によってはじまったポルトガルとの南蛮貿易により商船が出入りしていた平戸港。のちに歴史の教科書で必ずといっていいほど取り上げられるフランシスコザビエルが宣教活動を行った場所でもあるのです。
中世において異国文化との懸け橋になっていた平戸に宣教師たちが伝えたものは数々あり、「南蛮文化」と呼ばれるそれらはその後の日本に色濃く影響し、根付いたものも多いとされます。例えば有名なフランシスコザビエルは、全国での宣教の許可を得るため、さまざまな献上品を持ち込んだとされていて、眼鏡を初めて日本に持ち込んだ人とも言われています。以降も宣教師たちによって今では私たちの生活に必要不可欠な時計をはじめ、身近な葡萄酒やオルゴール、油絵や西洋楽器(オルガン、クラヴォ、ヴィオラ)などももたらされました。世界史的にいうところの大航海時代のいわゆる「コロンブス交換」、文物や学問、芸術、習慣に至るまで、中世では様々な文化が流れ込み、土地ごとに発展、継承されていったという事になります。
つたや總本家「カスドース」
創業文亀2年(1502年) 九州最古の菓子司 平戸蔦屋
そんな異国文化がいち早く渡来した平戸の地で受け継がれる歴史ある和菓子店 蔦屋。 平戸オランダ商館が開設された(1609年)南蛮渡来の時代に平戸の人々に伝わったカステラやコンペイトウといった数々の南蛮菓子に目を向け、当時よりカスドースをはじめとする伝統の菓子をつくり続けています。
カステラよりも早く伝来したとも、船の上で乾燥したカステラをアレンジしたものとも言われているカスドースは今も無添加・手づくりで400年以上代々に渡り継承されています。江戸時代には平戸藩主・松浦家の御用菓子司を務め、平戸松浦家29代当主であった松浦鎮信公が興した武家茶道「鎮信流」では現在でも蔦屋の茶請菓子が提供されているそうです。そんな由緒正しき菓子司で継承される南蛮菓子、一口食べれば異国文化と歴史のストーリーが広がること、間違いなしです。
つたや總本家「カスドース」
アレンジいろいろが楽しい
往事の江戸藩主・松浦家が150年以上も前に編纂したという、当時の平戸で銘菓と呼ばれていた百種類のお菓子を紹介する書物「百菓之図」には「カスドース」が描き残されていて、そのあと書きにも、蔦屋の当代・善作の名が見られるそうです。
甘さ控えめのカステラを焼き上げた後にひと晩かけて乾燥させたのち、たっぷりの卵黄にくぐらせて、沸騰した糖蜜に浸け卵黄に程よく火を通す。そして最後に砂糖をまぶして完成するという「カスドース」。
冷蔵設備がない時代に先人たちが生み出した日持ちを良くするためのお菓子づくりの知恵が受け継がれ、今もなお2日間手間暇をかけて丁寧に作られると言います。
つたや總本家「カスドース」
お殿様だけが食べることを許されたお菓子に想いを馳せて
そのむかし卵や砂糖が贅沢品とされていたころ平戸藩外不出の御用菓子として、外に出すことが禁じられていたという「カスドース」。 卵黄のコクと糖蜜の甘さ、そしてまわりに纏った砂糖のシャリシャリとした食感は贅沢そのものです。無添加・手づくりはもちろん、小麦粉や卵、砂糖も国産をメインに、良質な素材を厳選しているそう。そしてなかでも、卵黄には長崎県産の新鮮な卵だけを使用していて、黄身にコクがある卵を選ぶことで、おいしい「カスドース」ができあがるといいます。
伝統とこだわり、そして手間の積み重ねが奏でるハーモニー。松浦家に倣い日本茶でも、ビターな珈琲やストレートティーもおすすめです。
外国で生まれた食文化が日本へと伝来し、日本人好みに進化したりしながら500年ほどの時を超えて今の私たちでも楽しめるお菓子。そんなロマン溢れるお菓子の旅はいかがですか⁉
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