しかし大人になった私はぎんなんが大好きです。
大人になるずいぶん前にぎんなんが大好きになりました。
もはやお菓子の連載で語っていいのかわからない溺愛ポイントですが、私は昔から蟹や胡桃、そしてぎんなんと固い殻に覆われた美味をちまちまと掘り出して食べるその作業そのものが大好きです。昔よかれと思って母が蟹をほぐし身にして冷蔵庫に入れてとっておいてくれた時に「剥くのが美味しいのに…」と意味不明な言葉で怒ったことがありました。今思い出してもお恥ずかしい‥思春期のあれと頭の固さがあいまってあのような言動を投げつけてしまいました。お母さん、あの時はごめんなさい。

体に良いけど、食べすぎると良くない⁉

あんなに大きな木になる種子なのだから栄養価が高いんでしょう‥食べすぎはダメだよと言いあいながら、いらない封筒に数粒入れて電子レンジで温めたものをみんなでむいて、塩をちょいとつけて食べる。ぎんなんが並ぶ頃になると、そんな懐かしい思い出が頭の中をふわっとよぎります。
東洋医学などでは肺を温め咳を止めタンをきり、毒を消す作用や強壮強精の効果、そして頻尿、夜尿症咳などに効くと言われているそうで、古来より生薬として親しまれてきました。一方で「ぎんなん中毒」という言葉を耳にしたことのある方も多くいらっしゃると思いますが、メチルピリドキシンという成分による嘔吐や痙攣、顔面蒼白、呼吸困難、めまいや意識混濁、便秘、発熱などの中毒症状には気をつけなくてはなりません。メチルピリドキシンは熱に強い成分のため、ぎんなんは加熱調理しても、毒性がなくなりません。いつも漠然とした不安を抱えながら食べていたので、これを機に1日何粒まで食べても大丈夫か⁉などいろいろ調べてみたものの、大人でも体調やコンディションにもよるとのこと。念のため大人でも6~7粒、特に気をつけなければならない子どもならば1~2粒程度にしておいた方がいいらしいです。焼き鳥屋さんでぎんなん串2本食べたら終了と覚えておくことにします。

食べすぎは良くないと言われても‥

ぎんなんの苦さといい塩梅の塩加減。さらには揚げぎんなんが数粒ずつパック状に詰められていて手軽。もはやしょっぱい甘いループのようなエンドレスな魅力さえ感じる禁断のおやつと化したタクマ食品の「揚げぎんなん」。はじめてカルディで購入した際は、（もへじの揚げぎんなんはタクマ食品の製造です）サクサク食感で手軽に食べれるとあって1人であっという間に完食し、すぐにストックを買いに行ったのを覚えています。ぎんなん中毒にならなくてよかった…。でもそれぐらいの勢いで食べてしまうほど、苦い（の奥にどこか甘さを感じる）、しょっぱい、ビールのエンドレスループが発動してしまうんです。さらにここまでとりつかれるにはもうひとつポイントが。ぎんなんの個体差で苦さと苦さの奥の甘さがひと粒ひと粒、味が違うというところがまた何とも言えなく楽しいのです。ピザポテトの中のチーズまみれな1枚や、キャベツ太郎の中のすごく濃い茶色（ソースパウダーまみれ）のひと粒を見つけるような…さざえの肝の部分が今日は苦いか甘いか…そんなワクワク感からくるエンドレスループはもはや中毒なんぞ知らんと開き直ってしまいそうになるほど。
とはいえ今回いろいろ調べてしまったので、知ってしまったからには1日2パックまでとここにお約束させていただきたいと思います。

秋にはレンジで　旬以外は揚げぎんなんで

適量であれば健康にも良いという観点で、毎日少しずついただきたいぎんなん。毎年秋になると産直のお店やスーパーで粒の立派な下ごしらえ済みのぎんなんを見かけますが、正月明けの十日戎「えべっさん」参りで買う頃にはシーズンが終わるのでしょうか⁉そこからぎんなんを食べる機会がめっきり減ります。しかし揚げぎんなんに出会ったからにはもう大丈夫。3袋ぐらいストックして、帰宅後にご飯の支度をしながらいただきます。ちなみに同シリーズの揚げとうもろこし、揚げ枝豆も美味しいです！苦いのが苦手な方はそちらをどうぞ！