よろずを継ぐもの

  • ログイン
  • カート

田中屋 「雷鳥の里」

お菓子の史
第13話
2023.12.13
高山にすむ氷河時代からの貴重な生き残りとも言われる雷鳥。国の特別天然記念物であり絶滅危惧種に指定されています。雷の鳴るような空模様でも活発に活動することから「雷鳥」と書かれる説があり、古くは「らいの鳥」と呼ばれ江戸時代より火難、雷難よけの鳥として親しまれていたといいます。今回はそんな名前の付くお菓子のおはなし。
信州みやげの定番と言っても過言ではない「雷鳥の里」。大好きなお菓子のひとつなのですが初めての出会いがいつだったのか全く思い出せません。この連載の趣旨とは合わない、出会いのエピソードが全く浮かばないお菓子なのに、いつ食べても「あぁ懐かしい‥」と感じてしまうお味です。いったいぜんたい、何が懐かしいというのでしょうか⁉おそらく初めて口にした時から自分でもいまいち思い当たるふしの無い「あぁ懐かしい‥」という感情を抱いてしまい、「はじめまして」のあいさつがきちんと出来なかったのでしょう。いつの間にか、知らず知らずの間に「あぁ懐かしい‥」と言い合えるマブダチになっていた。言ってみればそんなもんです。

田中屋 「雷鳥の里」

雷鳥のイラストカードがうれしい

いただいた箱を開けると雷鳥のイラストカードがほっこりとさせてくれます。ちなみにこのカードの裏には担当者の名前入りの検印が押されており、私はその担当者名の違う雷鳥カードをファイルに集めています。また、箱のサイズで雷鳥カードの大きさにも種類があって「親鳥・小鳥」と勝手に呼んでいます。社会人になって長野土産として頂戴し、かわいらしい雷鳥カードをなかなか捨てることが出来なくて会社のパソコンに離席・退社の目印として使用していました。キーボードのボタンに雷鳥カードを指していれば「私は居ませんよ」の合図です。そうこうしているうちにいつのまにか紛失してしまうのですが、ある時に親鳥サイズに珍しいお名前の検印が入っていたのをきっかけに雷鳥カードを集めはじめてしまいました。あとでそのお名前を調べると全国でも80名ほどしかいないレアな名字との事で収集癖のある私は今も大事にとってあるというわけです。

田中屋 「雷鳥の里」

ジェネリック「雷鳥の里」⁉

ここで全国の「雷鳥の里」ファンの皆様と分かち合いたい本題。
それは、「雷鳥の里」の製造者にある株式会社小宮山製菓さんより発売されている「サラバンド」を知っていますか⁉という事。さらに写真にはありませんが最近目にするところでいうと「クリームサンドスティック」(成城石井)、「優しい甘さのクリームサンド」(3coins)も小宮山製菓さんが作られている欧風せんべいにクリームをサンドしたという代物です。ジェネリック「雷鳥の里」かと思われた本件、製造元が同じなのでジェネリックではない!という事になるのでしょうか。
田中屋 「雷鳥の里」

欧風せんべいの香ばしさがツボ

結局のところ、なぜひと口食べると「あぁ懐かしい‥」と感じるのか、そこはわからないままなのですが、洋風焼き菓子でありながらいわゆるクッキーとは違う、ほど良い歯ごたえと香ばしさに優しいクリームの甘さのコンビネーションが絶妙なお菓子です。
懐かしさと優しさを感じるその味のイメージは、雷鳥カードの春の姿よりも、写真で見る冬羽の真っ白くコロンとしたフォルムの雷鳥を思わせます。純白の天使、天使の使いなどと言われる冬の雷鳥のような、シンプルでやみつきなお菓子を是非味わってみてください。
戻る