よろずを継ぐもの

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シロツメクサ

花鳥風月
第3話
2023.6.29
「花を摘むと雨が降る」という言い伝えがある「雨降り花」というのを聞いたことがありますか⁉ヒルガオやホタルブクロ(これらはあまり摘むというイメージはありませんが…)と並び、シロツメクサもまた「雨降り花」と言われているそうです。シロツメクサと言えば、よく晴れた公園で花冠を編むお嬢様のイメージがパッと頭に浮かぶのに、雨を降らせるだなんて…私のイメージと少し違う感じがします。でも、雨の日のどこかふさぎがちな心をぱっと明るく照らしてくれる、そんな意味では梅雨時期に咲く花々はとてもありがたい存在で、さらに4葉のクローバーを見かければ、心がふっと軽くなる…草花のパワーを感じますね。
青々とした芝生のところどころに広がるシロツメクサ。その花々を見かけると、私自身の記憶なのかはかなり曖昧なのですが、「公園で家族や幼馴染とピクニックか何かをしていて、シロツメクサで花冠だか、ブレスレットを編んでもらって子どもながらに嬉しかった」そんな風景が頭をよぎります。いつか映像で見た何かのシーンなのか、それとも私自身のかなり幼い時の記憶なのか…。今となってはどちらが正しいのかわからない、だけどどこか穏やかな休日というフィルターをかけたような牧歌的なイメージに包まれているのです。

シロツメクサ
身近すぎる、なじみがありすぎる…

シロツメクサ/クローバーと言えば街中の植え込みやちょっとした公園などいたるところで見かけることのできる植物です。しかし身近過ぎて、なじみがありすぎて無意識にスルー、目に入っているようないないような…そんな曖昧な存在でもあります。
まだタンポポの方が黄色の主張が緑に映えるし、まん丸の綿毛が目に入れば、吹き飛ばしたい衝動に駆られます。一方でシロツメグサと言えば、たまたま生えているあたりで誰かを待っている、または公園でピクニックしていて目に入る、そんな時間を持て余した時にふと4葉のクローバーあったらいいな!ときょろきょろしてみる…そんな存在でした。
だけどこの前、芝生広場(だと思っていた)がクローバー広場だったことに気が付きました。シロツメクサの花が一面に咲き、それを見てはじめて何かのおまけやついでではなく、ただシロツメクサに見入る、そんなひと時を過ごしたのでした。
シロツメクサ
花よりも認知度の高い⁉幸運アイテム

シロツメクサ/クローバーと言えばやはり幸運アイテムとして有名な4葉のクローバーを思い浮かべる人も多いはず。その出現率は1万分の1とも言われているそうで、なかなかお目にかかることはありません。以前「4葉のクローバー探しの達人」という女性が何かの番組でテレビに出ていました。その人曰く、オーラというか、光のようなものを感じるそう。一般的に葉の成長点が傷つけられることで4葉などが発生するらしく、誰も足を踏み入れない場所よりも、人が良く通る道端などに多く出現するらしいです。今回少しだけ探してみましたが、私はオーラも光も全く感じることはなかったので…これからは道の際をぼんやりと眺めながら探すことにしようと思います。
シロツメクサの花言葉は「約束」「幸運」「私を思って」「復讐」。

ドラマの題材にもなるような少しドロドロした意味合いも含まれていますが、葉の数によって花言葉も異なり、基本的には4葉のクローバーに代表されるようなポジティブなワードが設定されています。

3葉 愛/希望/信頼
4葉 幸運
5葉 金運
6葉 地位や名声、名誉
7葉 無限の幸福
8葉 家内安全/子孫繁栄
シロツメクサ
マメ科シャジクソウ属

注目すべきは「マメ科」という事!調べてみるとシロツメクサは食べられる野草としても知られるそう。野草=灰汁が強そうなイメージですが、シロツメクサは灰汁が少なく、若葉や花をさっと茹でて冷水にとり、味付けしていただくとマメ科特有のコクがあるんだそう。ちょっと試してみたくなりますよね⁉でもさすがにそこら辺に生えているシロツメクサを採取して持ち帰るのはアウトでしょうから、来年自家栽培にトライしてみるのも良いかもしれません。
あと、可憐なシロツメクサの花々にミツバチのイメージがあまりなかったのですが、実はシロツメクサの花が咲くころには、結構周辺にミツバチが飛んでいるので、下手に刺激をしないように優しく見守りましょう。控え目な花に見えて実は濃厚な蜂蜜が得られる蜜源植物なんだそうですよ。

また、シロツメクサは漢字で書くと「白詰草」と書きます。これは江戸時代にオランダから送られてくる荷物の緩衝材として干したシロツメクサが詰められていたことに由来しているそう。現代の輸送時の緩衝材と言えばエアーバックや紙をくしゃくしゃにしたもの、発砲スチロールのつぶつぶなど味気の無いものが多いですが、昔の人はなんとロマンティック&エコな発想でシロツメクサを使っていたのでしょうか。

食べることができて、蜂蜜をもたらしてくれる、摘んだお花で手遊びをして、誰かを想って荷物と一緒に詰める…。
とても身近な植物なのに、想像以上にロマンティックなストーリーが隠されていましたね。
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