よろずを継ぐもの

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春華堂「うなぎパイ」

お菓子の史
第5話
2022.10.6
「夜のお菓子 うなぎパイ」忘れられないインパクト大なキャッチフレーズが印刷されたパッケージ。夜に食べて良いお菓子なんて!うなぎ入りのお菓子なんて!!と子どもながらにドキドキワクワクしながら食べたことを昨日の事のように思い出せる、唯一無二の銘菓です。
関東エリアではかなり定番中の定番ともいえるお土産うなぎパイ。思い起こせば舟和の芋ようかん、鳩サブレ、うなぎパイと住んでいた場所からの距離的にもなんとなくレア度を測っていたのかもしれない子ども時代。うなぎパイをいただいた時には「夜にしか食べちゃダメなんだよ。」だとか「本当は大人しか食べちゃいけないお菓子なんだよ。」とか堂々と兄弟に嘘を披露しながら食べた記憶が今も懐かしく思い出されます。
そしてうなぎパイといえば、言わずと知れた静岡浜松市 浜名湖名産のお土産ですが、とにかく「夜のお菓子」というキャッチフレーズ、うなぎパイという商品名、そしてうなぎの粉入りという事実があまりにもインパクトがありすぎます。もしかするとうなぎパイに似たお菓子は全国探せば結構あるのかもしれないけれど、春華堂のうなぎパイほど記憶に残るという意味では右に出る商品はないと思われます。

春華堂「うなぎパイ」

うなぎパイ職人の想いごと

あらためて春華堂やうなぎパイについて調べてみると、昭和36年に浜名湖特産のうなぎをヒントに誕生して以来、今に至るまで職人の手作りを継承していて、繊細なパイ生地作りを習得するまでは10年の鍛錬が必要との事。さらに継承は技術のみならず、今では師範制度を導入し「心・技・体」の精神と「つくり手の想い」までを継いでいると。もともと医学を志していたという2代目社長がおいしさだけでなく栄養面についても研究を進め、ビタミンA が豊富なうなぎ粉が使われていたり、仕上げにひと塗される秘伝のタレについてはごく一部の職人だけのトップシークレットだったりと…調べれば調べるほどに奥深い物語が広がっていてうなぎパイのさらなる魅力に引き込まれるような思いです。まさにもの作りに対する真摯な姿勢と、美味しさ、さらにパッケージや宣伝のインパクトの強さなど、何十年も前から完成されていたからこその今なのでしょう。

春華堂「うなぎパイ」

朝・昼・夜・真夜中

ところでうなぎパイにいくつか種類があるのはご存じでしょうか⁉ブランデー入りの「真夜中のお菓子うなぎパイVSOP」やナッツ・はちみつ入りの「うなぎパイミニ」、さらには「朝のお菓子 すっぽんの郷」「昼のお菓子 しらすパイ」などが販売されています。日本茶、コーヒー、紅茶にも合うとパッケージに書かれているプレーンももちろん美味しいのですが、私のお勧めはナッツ・はちみつ入りの「うなぎパイミニ」で、なんといってもナッツの香ばしさとはちみつの甘さがブラックコーヒーによく合います!またミニサイズが食べやすく、結果的に2枚、3枚食べてしまうからミニの意味ないじゃん…となってしまう、それぐらい美味しいです。「朝のお菓子 すっぽんの郷」「昼のお菓子 しらすパイ」はまだ食べたことがないので、今回すっかり興味を持ってしまった「うなぎパイファクトリー」へ行った際には「うなぎパイ詰め合わせ フルタイム」であれこれ食べ比べてみたいと思います。

春華堂「うなぎパイ」

いただくときは静岡出身のあの人の顔がうかぶ

こんなにうなぎパイ愛を語りながら、実は静岡へ行った記憶があまりありません。それでも顔が浮かぶ静岡出身の知り合いは、どの方も魅力的で行動力があり、人に対して寛容な方ばかりといった印象がとても強いです。うなぎパイを食べながら思い浮かべる知人たちの顔と過去の記憶も一緒に味わうひととき。土地のお菓子をいただきながらその場所にゆかりのある知人に想いを馳せる、これもお菓子の史の醍醐味です。皆さんもそんな楽しみ方はいかがでしょうか?

静岡茶のように清々しく、それでいて富士山のようなたくましさをあわせ持つあの人へ、
久しぶりにお手紙でも書こうかな。


この度の台風15号により被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。
一刻も早い復旧を編集部一同、心よりお祈り申し上げます。
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