よろずを継ぐもの

  • ログイン
  • カート

舟和「芋ようかん」

お菓子の史
第3話
2022.7.13
「芋ようかん冷蔵庫にあるよー!」学校帰りの私に呼びかける母のそのひと言はまさに笑顔の魔法のようでした。何かと敏感な思春期でさえ、舟和の芋ようかんなら仕方ない…だって美味しいから。と思えたお味です。
空前の焼き芋ブームの昨今。甘さやほっくり感を追求した様々な品種が登場し、秋ごろはお弁当代わりに焼き芋を携え会社へ出社するほど私もはまっています。思い起こせば…お芋を食べるとおならが心配という事から、なんとなくお芋好きを封印していた時代がありました。そんな思春期特有の恥じらいすら吹き飛ばす、貰ってうれしい、食べておいしい舟和の芋ようかん。老舗和菓子店の廃業が続々伝えられるいま、絶対に残り続けてほしい創業明治35年の老舗の味は、子供の頃からの特別な笑顔の記憶です。

舟和「芋ようかん」

私史上、元祖のペアリング

最近ペアリングという言葉をやたらと耳にしませんか?もともとはフレンチのコース料理で美味しいひと皿ひと皿に合うように、それぞれワインを提供するスタイルの事を指すそうです。「お肉だから赤ワイン、お魚だから白ワイン」という馴染みのフレーズはどんなお店でもよく聞きますよね⁉最近ではそういった食事の楽しみ方が拡大し、日本酒、ウイスキーのペアリングや、さらに拡大解釈して食べ物にベストマッチングするドリンクとのコンビネーションのような意味合いでも広く使われているようです。

舟和「芋ようかん」

舟和の芋ようかんは牛乳がなくっちゃはじまりません。これは家族みんなの暗黙の了解だったように思います。舟和の芋ようかんをお客さまにいただいた時は、帰宅すると「芋ようかん冷蔵庫にあるよー!」と母から声がかかります。「牛乳もあるー?」が子供のアンサーの定番でした。1人1本で充分満足できるずっしり感で、途中に牛乳をはさみながら今風に言うところのペアリングを楽しむ至福の時間を堪能します。これは今でも変わらず私のおやつ時間の1ページとなっています。

舟和「芋ようかん」

余計な物は入っていない

原材料の表記を見てみると、「さつま芋(国産)、砂糖、食塩」以上。
まさに余計な物は一切入っていないとはこのことではないでしょうか⁉
そういえば、小学生の頃、料理クラブ(という名のお菓子作りばかり)に入っていた時、それまで聞いたこともなかったスイートポテトなる物を作る機会がありました。みんなで作ったあと初めて食べてみて「これは舟和の芋ようかんではないかっ!」と感動し、家族にも喜んでもらおうと家でも腕を揮ったものでした。
昔は気が付かなかった(もしくは昔は書いてなかった?)、舟和の芋ようかんのパッケージにある芋ようかんのお召し上がり方に、「フライパンでバターで焼くと、こくのある洋風なお味に」と書かれているのは、まさにスイートポテトの事なのかも。
しかしスイートポテトを食べても芋ようかんは食べたくなる、芋ようかんを食べると満足する…まさに芋ようかんマジックと言えるかもしれません。皆さんも芋ようかんマジック、体験してみてはいかがでしょうか?
戻る