よろずを継ぐもの

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板かりんとう

お菓子の史
第1話
2022.5.31
普段何気なく贈り合うお土産や、自分へのご褒美と称して美味しいお菓子や話題のおやつを愉しむ時間は日常の中のちょっと幸せな時間ですよね。特別の人にいただいたもの、特別な時にいただいたもの、特別じゃなくてもとびきり美味しいもの。そんな思い出話と美味しい記憶を綴ります。
お世話になった方や、友人に手土産を選ぶ時間って素敵だと思いませんか?「あの人は甘党」「あの方はあんこに目がなかったはず」「〇〇県出身の友だちには出身県以外のなにかを…」記憶をさかのぼりながら、いつもありがとうという気持ちを託すちょっとした贈り物を選んでいく、そんな時間さえも感謝の気持ちを表しているような気がします。
板かりんとう
よく雑誌やテレビで「できる秘書が本当は教えたくない おみやげ特集」なる企画を拝見しますが、いざという時に通販で直接注文したり、予約したりしてまで購入するかというとなかなか手がでません…というかあんまり覚えていられません。結局のところ自分がいただいたり購入してみたりして美味しかったという実体験があるのとないのとでは、記憶の引き出しからスムーズに必要な時に「この方にこれをお渡ししよう」とならない…そんなことを最近感じています。
そこで、今まで頂戴した美味しいおみやげについての思い出や、実際に何度もリピート購入する大好きなおやつ、調べて興味深かった歴史などを綴っておくと、いざという時に便利なのでは?と。
板かりんとう
もちろん味覚や好みは千差万別ですので、すべての人が美味しいと思えるものはなんだ?そんなものはこの世にあるのか?というのはまた別の話。好みの傾向が似ている方には共感していただけるかもしれませんという前置きとしてよろず編集部いちの食いしん坊の基本情報をご紹介します。
・和菓子・洋菓子の好みは50/50
・極甘は苦手で海外のおやつ、お菓子は完食できないものがある
・日本の懐かしいおやつ類、通称「素朴系」が大好き
・辛党なので、甘じょっぱい系の変化球が結構つぼ
・クッキーやお煎餅などについて堅めの食感が大好き、しっとり系は苦手
・ここ数年、あんこが気になって仕方ない
板かりんとう
そんな私が今回ご紹介したいのは…浅虫名物 板かりんとう

それは新社会人として働いていた会社で、青森出身の先輩が帰省の際にお土産として定期的に事務所へ買ってきてくださった思い出の味。給湯室で布巾などの洗濯中に洗い桶にお湯がたまるまで、置いてある世界中から集まったお土産をつまんだ美味しい記憶の数々。その会社で務めていた間にいただいたお菓子は、それはそれは様々な種類があったと思います。そんな中でも忘れることができずに退職して10年以上経ってもふと食べたくなるお菓子のひとつがこちらの板かりんとうです。




素朴な甘さと結構な噛み応えで、噛めば噛むほどやさしい甘みが口の中に広がっていき、がりがりとかみ砕いて食べるその余韻までもが美味しい。もう1枚だけ、あと1枚だけと毎回袋のジップの開け閉めを繰り返してしまう、それはもうあとを引くお菓子です。お菓子に噛み応えを追求するようになったのはもしかするとこちらの商品の影響かもしれません。この板かりんとうとの出会いの直後、某有名珈琲店の大きなクッキーを食べて、「私は柔らかめなクッキーよりドライで固めのクッキーの方が好きだな」とはじめて認識するのでした。

ファッションのプロフェッショナルとして世界を飛びまわり、聞くもの皆を引き込むような華麗なプレゼンテーションが印象的な先輩の、さりげない心遣いが込められた素朴で美味しいそのお土産の味は、いまなお駆け出し社会人だったあの頃の私を思い出させてくれる、(味はほんのり甘いのに)心にほろ苦さまで与えるような奥深い1品です。
今まで何度も通販で購入してきましたが、名称とパッケージのデザインから指名買いを繰り返しておりました。しかし今回はじめて製造元のホームページを拝見し、浅虫温泉の永井久慈良餅店というお店の物で、実はメーカーの主力商品は板かりんとうとは別の「久慈良餅」との事を知りました。調べてみたからには店名にもある主力の「久慈良餅」もいただいて見なくては…。
美味しいお菓子の史、次回もお楽しみに。
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