よろずを継ぐもの

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わたしの自由研究

こんなのあがりました
第3話
2022.9.14
世界中で問題視され、その対策と意識改革が求められる海洋プラスチック問題。海岸沿いを歩いていて特に多く目にするのが牡蠣養殖のまめ管、ペットボトルキャップ、釣り道具の類、そしてBB弾などです。どれも人工的などぎつい色味なので、わざわざ屈んで探さなくてもぱっと目に入りますが、きれいな海岸沿いに人工的な無数のプラスチックごみ、なんだかとても悲しくなる現実です。
今年は3年ぶりの海開きとあって、若者たちはもちろん、家族連れや大人たちの集い、マリンスポーツにワンちゃんまで、海をそれぞれに満喫する姿が眩しい夏となりました。そんな活気づくビーチの楽しいムードとは真逆に、人が集まれば集まるほどに残される、食べ飲み残しのゴミやレジャーグッズの落とし物、風に飛ばされた袋類、たばこの吸い殻や花火の残骸などなど。漂着物まで気が回らないほど夏の間はいわゆる放置ゴミを拾い歩きました。遊びに来る人みんながもっと、まだまだ協力して海に流れ出るゴミを何とかして食い止めなくては…そう強く願いながら、都合のつく日にはビーチクリーンに出かけ、帰り道には閉まりかけの海の家で昔ながらのかき氷を食べて帰る、そんな夏を過ごしたのでした。
わたしの自由研究
人工的な色は目立つから

とまぁ、自分のペースでそこそこに活動した夏季ビーチクリーンの合間に、“海洋プラスチックを拾う日“を自分なりに設定して海へと出かけてみました。今回は自由研究として「拾った海洋プラスチックでアクセサリーを作ってみよう!」と思い立ち、いつもとは違う装備で出かけたのでありました。トングではつかみにくい小さなプラスチック片を手で次々拾い上げていくとものの30分ほどで小さなアクセサリーを作るには十分な量が集まりました。
その海洋プラスチックを持ち帰り、入念に洗い、よく乾かす。どれだけつけ置きしても取れないガチガチに固まった汚れなどがついているものは捨てて、きれいな物を色別に。そして100円ショップで購入したニッパーで細かく切ってペレット(破片)にしていきました。
わたしの自由研究
とっても楽しいアクセサリー作り

ペレットをアクセサリー型に盛ってクッキングシートの上から高温のアイロンでプレス、背面も同じように溶かし、冷ましたら枠外のはみ出たプラスチックをぺりぺりとはがして完成です!あれこれ考えずに作ってみたけれど、勝手にカラーグラデーションが出来て翡翠のような柄になってとっても満足しました。素材的に冷える際、変形しやすいという特性があるそうなので、アイロンを置きっぱなしにして焦らず冷えるのを待ちましょう。

今回の方法以外にもレジンにペレットを入れて硬化したパーツでアクセサリーを作ったり、ペレットを板状に溶かしはさみで好きな形にカットしてパーツとして使ったりとさまざまな作り方があるようです。ちなみに今回試したこの方法は、あえてコーティング剤などを使用していないので、デザインや色を変えたくなったらプラスチックの部分を外して作り替えることも可能、さらに捨てる時には分別しやすいのです。そんなアクセサリーの未来まで想像しながら世界にひとつだけのアクセサリーを作ってみる、まさにSDGsにある「つくる責任 つかう責任」の項目で私にできる小さな取組となりました。
わたしの自由研究
リサイクルこそ高級品

自由研究に取り組んだ結果として、身に染みて感じたこと。
海洋プラスチックをペレット状に切ること、約1時間。使いなれないニッパーのせいもあり腱鞘炎のような手の痛みと、水膨れがやぶれて数日間少し大変でした。何度洗ってもなかなか汚れが落ちない破片も多く、ゴミを拾ってもリサイクル化できるコンディションのものを選別し、手入れ、材料片へ加工するといったところまでがとにかくとても大変な作業です。逆にペレット状にまでしてしまえば、どんなアクセサリーパーツにしようか、少し色を混ぜてみようか?とそこからはとても楽しく作業出来たのですが。
そんなこんなでリサイクルアートや商品が売られているのをみて、材料費ただ(もしくは、ただ同然)なのになんでこんなに高いんだろうと少し嫌厭していた自分が恥ずかしくなりました。ゴミをゴミとせず、材料にするのに時間と労力をかけ、マイナスからプラスを生むイメージ。そこに手間暇や技術が必要だから安い新品の材料を使用するより高くなっても、何にも不思議ではないという事がわかりました。
そんなことに気が付けた今年のわたしの自由研究は、3年ぶりの海開きと共に幕を閉じたのでありました。
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