よろずを継ぐもの

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美術家 市川 孝典

1本道のヒト
第1話
2023.6.6
2023.6.6【最新個展情報を更新しました】
琴線に触れる作品や音楽に出会えること、それは心を豊かにし人生にも彩りを与えてくれるとても素敵な奇跡だと思います。他の人の評価がどうだとかではなくて、自分自身に響くものは人それぞれで、作品の前に立った時、魂が震えるような感覚、その場から1歩も動きたくなくなる感覚は本当に特別な運命の出会いだと、そう思うのです。
 生きているうちに行きたい世界中の大きな美術館や博物館はまだまだあるのに、なかなか海外旅行もままならず、海外はおろか国内旅行すらひさしい今日この頃です。とはいえ、どれだけ有名な作品をこの目で拝んでみても「なるほど。」で終わってしまうことって結構ありますよね。前評判が高ければ高いほど、運命の出会いを期待してしまうけど、私自身は作品を見て鳥肌が立つほどに心底感動するということはそんなに多くないので、おそらく無知が故、ちゃんとした楽しみ方がわかっていないのかな、なんか素人ですみません…という気持ちになったりするのです。

美術家 市川 孝典

 そんな私ではありますがこれまで鳥肌が立つほど感動し、心動かされたアーティストの方々を思い浮かべてみると、「1本道のヒト」というタイトルが浮かびました。
1本筋の通った気持ちの良いくらい潔さを感じる表現方法に惚れてしまう傾向があるようです。海だけ、空だけ、満月だけ、猫だけ…。愛すべき対象物やひとつの材料を深く深く掘り下げるスタイル。それは格好いい趣味が欲しくて絵をかじり、写真をかじり(本当にどちらもひとかじりした程度)の飽き性の私が到底たどり着くことのない境地。だからこそ憧れる神聖さすら感じる世界なのかもしれません。

美術家 市川 孝典

 そんな私の魂を震わせてくれた作品をご紹介する「1本道のヒト」初回は、美術家の市川孝典氏です。
約60種類の線香から生み出される綺麗な作品は、1歩、また1歩と作品に近づく度にその迫力を増し、儚さを増し、作品から目が離せないほどに引き付けられる、そんな印象です。作品に少しずつ歩み寄りながら、その作品の本当の素材感に気がついたとき、私は鳥肌が立って一瞬で心を奪われたのでした。はじめて市川孝典氏の作品に出合った時のその記憶は今もはっきりと思い出され、このような出会いがこれからの人生あといくつあるのだろうか(もしかしたらもうないかもしれない)と考えてしまうほどに鮮烈なものとなっています。

美術家 市川 孝典
©Kosuke Ichikawa/Soni. & Co. All Rights Reserved
《untitled (carnival rides)》
2022年
和紙に焦げ跡
75×100 cm


 そんな市川孝典氏の作品は是非実際に目の前で見ていただきたいと思います。おそらくどれだけ詳しく紹介しても、私の受けた感動を丁寧にお伝えしても、事実の1割にも満たない、そんな見ごたえのある作品と断言できます。
今回、私自身も久方ぶりに拝見し、当時の衝撃はそのままにさらに奥深く、表現や工程の進化などを伺う事ができまさに時間ごと味わい尽くす、そんなひと時を体験してきました。運命の予感を感じた方、気になった方は是非足をはこんでその目に焼き付けてきてください。



▼最新個展情報▼2023.6.6 UP

京都の誠光社、PURPLEの2会場で、
市川孝典個展 「NOW LOADING........」「VINTAGE BROWN」同時開催

“NOW LODING........”

会期:2023年6月16日[金]-6月30日[金]
開廊時間:10:00-20:00 (無休)
会場: 誠光社
〒602-0871
京都市上京区中町道丸太町上ル俵屋町437 
    料金: 無料
お問い合わせ
TEL/FAX 075-708-8340
詳細は「こちら」のリンクまで


※ トークイベント(詳細)
6月17日(土)19:00-
いしいしんじ(作家)×市川孝典(美術家)

“VINTAGE BROWN”

会期:2023年6月16日[金]-7月2日[土]
開廊時間: 火-金13:00-20:00 土日11:00-19:00 月曜定休
会場: PURPLE
〒604-8261
京都市中京区式阿弥町122-1 式阿弥町ビル3階
料金: 無料
お問い合わせ
Tel:075-754-8574
詳細は「こちら」のリンクまで
※ トークイベント未定

▼profile▼
市川孝典(Kosuke Ichikawa)
美術家
「時間」と「記憶」という儚く朧げなテーマをもとに、紙に焦げ目をつけながら作品を仕立てるスタイルの「線香画」を確立。
強靭さと繊細さを併せ持つ唯一無二の作品世界を構築し、「現代絵画をまったく異なる方向に大きく旋回させた」と評される。
近年はCHANELをはじめアパレルブランドや、ジャンルの垣根を超えたコラボレーションも多数手がけている。
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