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島の幸々

新潟県佐渡島 おけさ柿をつかった伝統の生切り餅

佐渡島「柿餅本舗」
2022.5.31
「いくら調べても、日本では、柿餅作りの文化はほとんど見当たりません。
『伝えたい、残したい』の想いだけで作り続けています」

2009年定年退職を機に離島・佐渡島に移住し「柿餅」を作り続けている五十嵐敏郎さんはそう語ります。

今回ご紹介する商品は「佐渡の柿餅・黄金餅詰め合せ」です。
佐渡島といえば、トキや金山などを思い浮かべる人が多いと思いますが、柿の産地としても有名です。

ここにしかない、そう言われると気になって食べてみたくなるのが心情ですね。
ところで「柿餅」とは一体どのような食べ物なのでしょうか?
新潟県佐渡島 おけさ柿をつかった伝統の生切り餅
1.佐渡島の歴史と風土
佐渡島は新潟県の西部に位置する日本海側で最大の離島です。本土との最短距離は約30km。島の面積は約855㎢あります。

海洋性の気候が特徴で、四季折々の豊かな自然と独自に育まれた歴史文化など、見どころがたくさんある島です。

佐渡島は対馬暖流の影響もあり、リンゴやミカン、イチゴ、柿、ブドウ、梨、お茶など、品質に優れた多くの果物が生産されています。豊かな漁場を持ちマグロ、ブリ、イカなどの水産業も盛んです。

農産品としては1位が米、2位がおけさ柿。おけさ柿は平種無柿の渋柿で、一般的には、炭酸ガスによる脱渋を行ったあと、さわし柿として市場に出回ります。その他、機械乾燥によるあんぽ柿や昔ながらの製法による干し柿として出荷されています。

佐渡は日本海に浮かぶ孤島のため、かつては人や物、文化は港を介して北前船で運ばれてきました。奈良時代から佐渡は罪人の流刑地と言われていますが、借金などで家族に累が及ばないように人別帳を離れた無宿人が佐渡金山の水替え人足として送られてきた歴史があります。いわゆる、極悪人ではありませんでした。

一方では時の政権に対して、都合の悪い思想家や文化人なども佐渡に幽閉されてきました。流れ着いた貴族や知識人によってもたらされた貴族文化も根付いています。

金山の発展に伴い、奉行や役人が江戸から持ち込んだ武家文化、大阪を始点として瀬戸内海を通り、日本海の港を経由する北前船によって産物や情報と共に運ばれてきた町人文化、それら全国各地の港から物資とともに人々によって運び込まれた無数の文化が融合し、佐渡独特の文化が育まれました。
新潟県佐渡島 おけさ柿をつかった伝統の生切り餅
2.柿餅を作り続ける、佐渡の柿餅本舗とは?
そんな独自の歴史や文化をもつ佐渡島で柿餅を作り続けているのが、佐渡の柿餅本舗の五十嵐敏郎さんです。
五十嵐さんと柿餅に使われるおけさ柿との出会いは、40数年前にさかのぼります。

佐渡島は、五十嵐さんの奥さんが生まれ育った土地で、南部の羽茂地区で義兄さんや叔父さんがおけさ柿の農家を営んでいました。秋の収穫期には、柿もぎの手伝いで佐渡に帰省することも多くなり、おけさ柿との付き合いは次第に深くなっていったそう。
五十嵐さんはもともと千葉県鎌ケ谷市在住で東京の信用金庫に37年間勤務し、営業から管理部門までほとんどの業務に携わり、2009年9月末に定年退職。

そんな縁もあり、千葉で暮らしている時から、おけさ柿を使ったお菓子などをいろいろと試作していたと五十嵐さんは言います。そして佐渡の柿餅や干し柿を加工したお菓子作りを本格的に始めることになりました。

退職後、同年10月に佐渡へ移住。佐渡の特産を使い、昔から食されてきた柿餅を、佐渡のお菓子として多くの人に知ってもらいたいという想いから、商品化に乗り出しました。

今も地元の食材で、素朴で上質な佐渡のお土産として、選んでいただける商品に育てたい‥という想いで、今でも柿餅を作られています。
新潟県佐渡島 おけさ柿をつかった伝統の生切り餅
3.柿餅とは?
柿餅とは、干し柿を入れて搗く(つく)お餅のことです。
一般的なよもぎ餅やミカン餅などのような、変わり餅の一種と言えばわかりやすいですね。

柿餅は干し柿が乾く1月から2月の寒の頃、貴重なもち米と手間のかかった干し柿を使って、おだやかな甘さのお餅を搗いて、農家の冬場の楽しいおやつとして伝わってきました。

佐渡の干し柿は種が無く、しっとりなめらかで羊羹のような味わいが特徴。その干し柿を、さらに乾燥させて、こがねもちというブランドの餅米と搗いたお餅が佐渡の柿餅です。

食材はもち米と干し柿だけで、身近な素材でのお餅ですが、佐渡では南部の一部の地域だけで守られてきている貴重な食文化となっています。

柿は熱を加えると渋戻りの状態となるほか、乾燥により糖度が凝縮されるため、柿加工には高い技術が必要とされます。佐度では古くから農家のおやつとして作られており、日本でも数少ない生産地となっています。

柿餅・黄金餅詰合せは、この豊かな島で採れた、もち米、おけさ柿、よもぎ、古代米、塩だけを使った、混ぜ物のない素朴なお餅の詰め合わせです。

この柿餅をおかきにしたのが柿餅おかきで、柿餅と同様、砂糖や添加物は使わず、柿本来の優しい甘さを後口に味わうことができる、素にして上質な一品。

お餅も、干し柿も、古くから農家では神様に奉納する貴重なものとされてきました。砂糖が貴重であった頃、糖度の高い干し柿の甘みはとても大切な食材。お餅は人生の区切りを祝ったり、農作業の田植えや収穫を祝う祭りの日など、ハレの日の特別な食でもあります。お赤飯・ぼた餅・笹団子など餅米は今でもことあるごとに登場します。

杵と臼で餅を搗いていた時代は、干し柿が完全に混ざりきらず、マーブル模様の柿餅でしたが、“餅つき機”で作るようになってからは、きれいに全体が混ざった柿餅ができるようになりました。便利な家電が普及してきましたが、それでさえ、今では家庭で餅を搗くことも少なくなったそうです。
今ではもう、柿餅を作っている農家は残りわずかとなっています。

佐渡島の農産品の柿を使って、昔から伝えられ、作られてきた柿餅の食文化。
時代の流れと共に柿餅の作り手は減ってきています。
五十嵐さんが伝えたい、残したい想い。

ぜひ一度、佐渡島の風景や独特な文化を思い浮かべながら、柿餅の素朴な甘さを味わってみてください。
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